Nothing about us without us! その2
去年の8月、ジュネーブの国連欧州本部のロビーに、日本から約100名の障害者が集まっていました。日本が批准したある条約に、政府がきちんと対応しているかどうかを確かめるため、国連が行う「審査」を傍聴し、いわゆるロビー活動をするためです。
その条約とは、CRPD 国連障害者権利条約。
障害があってもなくても一人一人の尊厳が大切にされる世界を目指すものです。
2006年国連総会で採択、日本も2014年に批准していますが、条約にかなう社会が実現できているのか、日本政府が初めて国連の障害者権利委員会に呼ばれました。(その様子はYouTubeで配信されており、今も見ることができます。)
9月に出された国連勧告には様々な内容が含まれていますが、教育分野では、分離された特別支援教育の中止が求められました。
国連障害者権利委員会は通常の学級で学べない子どもがいることを問題視し、「インクルーシブ教育」に関する日本政府の行動計画の策定を勧告しています。これはなかなか文科省としては受け入れ難い内容。
文科省は、学級・学校の選択はあくまで本人や保護者の意向を最大限尊重するとしていますが、「通常学級に通えると知らなかった。」、「特別支援学校を勧められ、そうするしかないと思った。」など、実態との乖離も見られます。
インクルーシブ教育の推進には、教員の増員、他職種連携、教員の障害理解など難しい課題が非常に多く、実際、保護者や本人が特別支援学級・学校を選んでよかった、というケースも勿論あリます。
それでも、国連がインクルーシブ教育にこだわるのは、「分離した教育」は社会の分断を生むが、「インクルーシブ教育」は共に生きる社会をつくるからです。
普通学級に障害のある子が入ってきた時に、健常児の方が刺激を受けて、合理的配慮を学び、良い変化が起きる。
インクルーシブ教育は、障害児への教育をどうするかではなく、障害のある子も無い子も一緒に学ぶにはどうやって行けばいいのか、それを考えることです。
障害者権利条約のスローガン「Nothing about us without us!」(私たちのことを私たち抜きに決めないで)
この言葉の意味は、障害のある人と一緒に過ごしていくうちに何となくわかって来るものです。最初から大げさなことをする必要はありません。身近な小さなことでいいんです。
さあ、はじめましょう。
誰も排除しない、誰も排除されない社会を目指して。