徒然日記
2022.12.14

未曾有の危機に立ち向かう

1954年9月26日、台風15号に襲われ、死者・行方不明者あわせて1,155人という日本史上最悪の海難となった洞爺丸の遭難。この台風は後に「洞爺丸台風」と呼ばれるようになったこともあり、「沈没したのは洞爺丸1隻だけ」と思われている方も多いのではないでしょうか。

そうではありません。

台風15号により、洞爺丸をはじめ、第11青函丸、北見丸、十勝丸、日高丸、実に5隻もの青函連絡船が沈没しました。

恐るべき台風の真っ只中で、連絡船の乗組員たちが使命感と誇りを持ち、乗客の命を守ろうと最後まであきらめず、文字通り鬼神の如く奮闘した記録が、書籍「復刻・台風との斗い(たたかい)」です(2011年発行)。
同年、函館・東京で同時開催された企画展の内容をまとめた冊子「洞爺丸はじめ5青函連絡船遭難記録」と合わせて読むと、全体の状況がよくわかります。

誰も経験したことのない未曾有の危機に直面した乗組員たちが、どう立ち向かったのか。事故直後の大変な時期に、当事者の記憶が薄れる前によくぞこの記録を編纂してくれたものです。昨夜久しぶりに読み返し、鬼気迫る臨場感が蘇りました。

1955年に国鉄青函局が非売品として刊行した幻の書を、半世紀の時を越えて復刻させた「語り継ぐ青函連絡船の会」のご尽力に敬意を表します。

※この本は、函館市青函連絡船記念館「摩周丸」売店で販売されているほか、いるか文庫ライブラリーショップで通信販売されています。

冒頭の画像の出典:気象庁ホームページ 洞爺丸台風「天気図 9月26日09時」を加工して作成

share